五度圏と調性

五度圏とは

五度圏

上の図と同じような物を見た事があるのではないでしょうか?この図は五度圏、英語だとCircle of Fifthと呼ばれる物です。音楽理論と銘打った本には大概出て来る、お馴染みの図です。

この五度圏、何を表しているのでしょうか?まずはCから順に時計周りにアルファベットを読んでみると分かります。C→G→D→A...これは五度上に順に進んでいくようにできています。また、Cから順に逆方向、反時計回りに読んでいくと今度は四度上になっています。(そのせいかCircle of Fourthなんて書かれているのも見かけた事もありますが、多分一般的じゃないと思います。)

という事で、時計回りに読んでいくと順に五度上の音名が出て来るので五度圏という名前がついています。これで仕組みが分かった訳ですが、これだけだと何の役に立つのか全然分からないですね。ここからはこれを使っていくつかの知識を身につける方法を見ていきましょう。

五度圏と調性

まず五度圏と調性との関係を見ていきましょう。

Cのキーは言うまでもなく#も♭も付きません。このCをスタート地点にして右回りから見ていきます。まずはG。#が一個ですね?次がD。これは#が2個。続いてAは3個。という事で右回りは順次#が増えていく事になります。最終的にC#で#が7個付くところまでこれが続いていきます。

次はCからスタートして左回り、つまり逆時計回りですね。こちらはFが♭1個。次のB♭が2個。という形で左に行くに従って♭が増えていき、最終的にはG♭で♭が6個付くところまで続きます。ちなみにC#とD♭、F#とG♭は実音という観点でいくと同じ物同士になってしまいますが、これは理論上こうなっていますので、割り切ってそういう物だと思っておきましょう。

まあ、ここまでは大抵の理論書に書いてある事ですね。ここからは調号の付き方について暗記がラクになるワンポイントレッスン。右回り、つまり#の付き方にまず注目してみましょう。

まずはGのキー。1つ目の#はFに付きます。
Gキーの調号

次はDのキー。2つ目の#はCに付きます。
Dキーの調号

何か気づきませんか?そうです。#が新たに付く位置は五度圏でFからスタートして時計回り、もしくは五度圏で現在のキーから左回りに2つお隣という仕組みになっています。分かりやすく全ての#が付いているC#キーの調号を見てみると・・・
C#キーの調号
左から順にF→C→G→D→A→E→Bとなっているのが確認できます。こんがらがっている場合は一度この音の並びを五度圏の図と比較してみましょう。

次に左回り、つまり♭の付き方をチェックしてみましょう。こちらも#の場合とほぼ同様の五度圏との関連性が見いだせます。

まずはFのキー。1つ目はBの位置に付きます。
Fキーの調号

次はB♭キー。今度はEの位置ですね。
B♭キーの調号

最終的な結果はやっぱり全部の♭が付いたG♭キーで。
G♭キーの調号
B→E→A→D→G→Cという順ですね。Bからスタートして五度圏を逆時計回りしていく形になっています。ちなみに♭系のキーに関しては2個以上付く時は右から二番目の♭の位置を見ると調が特定できます。例えばこのG♭キーであれば右から2番目の♭はGの位置についていて、♭を付けて読めばそのままG♭ですね?まあ、手書きの譜面の時には必ずしも几帳面に調号の位置が分かるように書いてくれているとは限らないのであまり依存しない方が良い方法論ですが、初期段階で読譜に苦労している時には知っていると便利な小ネタです。

ここでは調性との繋がりだけをピックアップして取り上げましたが、五度圏は定型的なコード進行を把握する時にも便利に使えたりします。またその辺はのちのちコード進行の話をする時に取り上げようかと思います。まあ、何が言いたいかというと、五度圏はたったこれだけの情報量を暗記するだけで色々な知識を芋ずる式に引きづり出せる便利ツールですよ、是非暗記しちゃいましょうという事です。

ポイント確認

このページで覚えて欲しい事はなんといっても五度圏。これに尽きます。ですが、いきなり図を思い浮かべろなんて言われても困りますよね?という事で実際に覚える時は#のキーを右回りの順番に言えるようにする。次に♭のキーを左回りに順番に言えるようにする。こういうやり方が良いんじゃないでしょうか。

  • 1. Cから順に五度圏右回り順で#系のキーを答えて下さい。
  • 2. Cから順に五度圏左回り順で♭系のキーを答えて下さい。
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